概要
Loom DAppチェーンはイーサリアム仮想マシン(EVM)を含み、EVMバイトコードへコンパイルされるスマートコントラクトのデプロイと実行が可能となる。
イーサリアム仮想マシン
EVMを構成するのは、データベース及びEVMバイトコードのインタプリタである。
このインタプリタはEVMのバイトコードを実行し、ブロックチェーンに適した安全な決定的プログラムを作るために特別に設計されている。 EVMスマートコントラクトをコーディングするのに最も人気のある言語はSolidityであるが、EVMバイトコードにコンパイルされる言語ならどれでも、EVMインタプリタによって実行可能だ。
このデータベースは、EVMにデプロイされた各プログラムのアドレスをキーとしている。そのバリューは、プログラムのバイトコードと関連データを含む。
DAppチェーンとEVM
現在、DAppチェーンのEVMと対話するいくつかの方法がある。
スマートコントラクトは、ブロックチェーンの初期起動時にデプロイできる。
Loomのコマンドラインツールは、スマートコントラクトのデプロイ、またはすでにデプロイ済みのコントラクト上のメソッドの呼び出しを可能にする。
EVMコントラクトもしくはプラグインコントラクトのどちらからでも、既にデプロイ済みの別のEVMコントラクト上のメソッドを呼び出すことができる。
Goだとgo-loomのEvmContractオブジェクトを使用できる。
TypeScriptやJavaScriptではloom-jsのEvmContractオブジェクトを使用する。
EVMスマートコントラクトは、コンパイルされたバイトコード形式でDAppチェーンにデプロイされる。 このためチェーンは親言語を認識しない。 Solidityのスマートコントラクトメソッドの呼び出しパラメーターは、Solidityのウェブサイトに記載されているアプリケーションバイナリインターフェイス (ABI) でエンコードされる。 このABIは非常に複雑になるのだが、後ほど取り上げるように、イーサリアムの実装はパラメーター生成をサポートする関数を与えなくてはならない。
立ち上げ時のデプロイ
コンパイル済みのコードをコントラクトディレクトリ内に配置しgenesis.json
ファイルをリンクすることで、立ち上げ時のDAppチェーンにデプロイすることができる。
これはジェネシス・ファイルのサンプルだ。
{
"contracts": [
{
"vm": "EVM",
"format": "truffle",
"name": "SimpleStore",
"location": "/path/to/loomchain/contracts/SimpleStore.json"
},
{
"vm": "plugin",
"format": "plugin",
"name": "evmexample",
"location": "evmexample:1.0.0",
"init": {
}
}
]
}
配列の最初には2つのコントラクトがある。1つ目はEVMコントラクトで、2つ目はプラグインコントラクトだ。
vm:
コントラクト実行に使用される仮想マシン。現在は2つのオプションがある。plugin
ユーザーがコントラクトを作成。EVM
コントラクトは、DAppチェーンEVM上で実行される。
format
コントラクトディレクトリ内にあるスマートコントラクトのインプットファイルの性質。plugin
ユーザープラグイン。go-loom
で作成可能。truffle
truffleのコンパイラを使用してコンパイルされたSolidityプログラム。solidity
solcを使用してコンパイルされたSolidityプログラム。hex
Raw Hex。Solidityプログラムのインスタンスにはsolc -o
のオプションを使用してコンパイルされる。
name
これはLoomもしくはEVMから割り当てられたコントラクトアドレスを取得するのに使用される。location
コントラクトディレクトリ内に配置されたバージョン化されたバイナリファイル名。 TruffleとSolidityに完全なPATHを提供するのに必要となるだろう。
そのためこの例では、Loom DAppチェーンはSolidityコントラクト・SimpleStoreのtruffleコンパイルからバイトコードを受け取ることとなる。 そうしてこれをチェーンのEVMにデプロイする。 Loomのログ情報でその確認とコントラクトアドレスが利用可能となる。
コマンドラインからのデプロイ及び実行
Loomのコマンドラインツールには、チェーンのEVMと対話するための3つのコマンドがある。
deploy
チェーンのEVM上に、EVMバイトコードでスマートコントラクトをデプロイする。call
既にデプロイ済みのEVMスマートコントラクトにある状態変更メソッドを呼び出す。static-call
既にデプロイ済みのEVMスマートコントラクトにある読み取り専用メソッドを呼び出す。
デプロイ
./loom deploy
を使用してコントラクトをデプロイすると、EVMバイトコードにコンパイルされDAppチェーンEVMに置かれる。
Deploy a contract
Usage:
loom deploy [flags]
-a, --address string address file
-b, --bytecode string bytecode file
--chain string chain ID (default "default")
-h, --help help for deploy
-k, --key string private key file
-n, --name string contract name
-r, --read string URI for quering app state (default "http://localhost:46658/query")
-w, --write string URI for sending txs (default "http://localhost:46658/rpc")
-a 及び -k のフラグは、公開鍵および秘密鍵のアドレスファイルでユーザーを特定するのに使用される。
-bはコントラクトのEVMのローバイトコードがあるファイルを提供する。 これはsolc --bin -o. MySolProgram.sol
といったSolidityコンパイラを使って生成可能だ。
-n はコントラクトの名前を入力できるようにする。これはコントラクトアドレスよりも、よりユーザーフレンドリーなハンドルとして機能する。
例:
./loom deploy -a ./data/pub -k ./data/pri -b ./data/bytecode.bin -w \
http://localhost:46658/rpc -r http://localhost:46658/query
全てうまく動いていれば、次のように表示されるはずだ:
New contract deployed with address: default:0x71A53d11A3b77e369463804FEE9B17ba7E24d98B
Runtime bytecode: [96 96 96 64 82 ... 84 226 214 187 0 41]
Transcation receipt: [10 178 198 52 108 ... 141 155 79 250 97 129 104 243]
出力されたコントラクトアドレスは、callコマンドでコントラクトのメソッドを呼び出すのに使用できる。 デプロイメントのためのトランザクションのレシートを検索するために、固有のトランザクションハッシュ を使用することができる。
call
コントラクトのメソッド呼び出しは、状態を変更しうる。
Usage:
loom call [flags]
Flags:
-a, --address string address file
--chain string chain ID (default "default")
-c, --contract-addr string contract address
-n, --contract-name string contract name
-h, --help help for call
-i, --input string file with input data
-k, --key string private key file
-r, --read string URI for quering app state (default "http://localhost:46658/query")
-w, --write string URI for sending txs (default "http://localhost:46658/rpc")
-a 及び -k のフラグは、公開鍵および秘密鍵のアドレスファイルでユーザーを特定するのに使用される。
-c はコントラクトアドレスを要求する。これは前述の\loom deploy
へのコール結果、もしくは立ち上げ時のログから検索したものとなりうる。
-n はコントラクトデプロイ時に入力された名前やラベルであり、アドレスを代替するものとして使用可能だ。
-i は入力文字列だ。Solidityのコントラクトでは、これはSolidity ABI documentationで説明されているようにABIにエンコーディングされる。
例
call -a ./data/pub -k ./data/pri -i ./cmd/loom/data/inputSet.bin \
-c 0xbD770416A3345f91E4b34576Cb804a576Fa48eB1 \
-w http://localhost:46658/rpc -r http://localhost:46658/query
これが完了すると、トランザクションのハッシュ値が返却されるが、これは各トランザクションコールに対し唯一であり同じものはない。 これを使ってトランザクションのレシートを取得できる。
static-call
コントラクトの読み取り専用メソッドを呼び出し、メソッドの戻り値を返す。
Usage:
loom static-call [flags]
Flags:
--chain string chain ID (default "default")
-c, --contract-addr string contract address
-n, --contract-name string contract name
-h, --help help for static-call
-i, --input string file with input data
-r, --read string URI for quering app state (default "http://localhost:46658/query")
-w, --write string URI for sending txs (default "http://localhost:46658/rpc")
-a, --address string address file
--chain string chain ID (default "default")
-k, --key string private key file
-a 及び -k のフラグは、公開鍵および秘密鍵のアドレスファイルでユーザーを特定するのに使用される。
-c はコントラクトアドレスを要求する。これは前述の\loom deploy
へのコール結果、もしくは立ち上げ時のログから検索したものとなりうる。
-n はコントラクトデプロイ時に入力された名前やラベルであり、アドレスを代替するものとして使用可能だ。
-i は入力文字列だ。 Solidityのコントラクトでは、これはSolidity ABI documentationで説明されているようにABIにエンコーディングされる。 例
アドレスフィールド -a と -k はオプションである。
static-call -a ./data/pub -k ./data/pri -i ./cmd/loom/data/inputGet.bin \
-c 0xbD770416A3345f91E4b34576Cb804a576Fa48eB1 \
-w http://localhost:46658/rpc -r http://localhost:46658/query
ユーザーのプラグインから
DAppチェーン上のEVMにデプロイされたスマートコントラクトは、プラグインを作成したユーザーによって呼び出しが可能だ。go-looomにあるevmexampleのサンプルは、これを行う例を示している。
続きをやる前に、関連する様々なモジュールについて考えてみよう。
ユーザーアプリケーション。これはエンド ユーザーのアプリケーションで、DAppチェーン上でのトランザクションを引き起こす。
DAppチェーン。ユーザーアプリケーションからトランザクションを受信し、適切なコントラクトへ転送して実行する。またブロックチェーンに結果をコミットする。
スマートコントラクト。これらはユーザーによって書かれ、DAppチェーンにデプロイされる。主に2種類がある。
- プラグイン。 RPCでサポートされていれば、どんな言語で書くことも可能だ; go-loom はGoで書かれたコントラクトの使用を簡単にし、またloom-jsは javascript向けのものである。 このプラグインはDAppチェーンがgRPCを使って 呼び出せるようなものへコンパイルされる。
- EVMスマートコントラクト。SolidityのプログラムやEVMバイトコードにコンパイルされる 何か他のコードはDAppチェーンでEVMを使って実行することができる。
プラグインは、EVM上にデプロイ済みのものも含めて他のコントラクトを実行することができる。これはgRPCを使ってDAppチェーンへコールバックするすることで行われる。 逆はしかし真ではない。だがEVMにデプロイされたコントラクトはEVM内でのみやり取りができるので、EVMの結果は決定論的なものとなる。
ユーザーのコード
ユーザーは2つのコードアイテムを提供する。つまりスマートコントラクトと、DAppチェーンを使えるようにするエンドアプリケーションだ。
以下では、Goがエンドアプリケーションに使用されていること、さらにスマートコントラクトがプラグイン用のGo、もしくはEVM用のSolidity、このどちらかで書かれていることと仮定していく。 JavaScript向けのソリューションは、 loom-js-quickstart を参照のこと。
最小プラグイン
まず、Go-loomでのコントラクト定義について見ていこう。
type Contract interface {
Meta() (plugin.Meta, error)
}
そしてplugin.Metaはprotobufで定義される
type ContractMeta struct {
Name string `protobuf:"bytes,1,opt,name=name,proto3" json:"name,omitempty"`
Version string `protobuf:"bytes,2,opt,name=version,proto3" json:"version,omitempty"`
}
全てのコントラクトはMeta関数を実装する必要がある。 しかしDAppチェーンのプラグインとして利用可能にするにはさらなる手順が必要であるが、以下最小限のサンプルだ。
package main
import (
"github.com/loomnetwork/go-loom/plugin"
"github.com/loomnetwork/go-loom/plugin/contractpb"
)
type HelloWorld struct {
}
func (c *HelloWorld) Meta() (plugin.Meta, error) {
return plugin.Meta{
Name: "HelloWorld",
Version: "1.0.0",
}, nil
}
var Contract plugin.Contract = contractpb.MakePluginContract(&HelloWorld{})
func main() {
plugin.Serve(Contract)
}
ここにはいくつか興味深い点がある。
- まず、コントラクトはpackage mainでなくてはならない。
- HelloWorldというコントラクトを構造体として定義。
- コントラクト名とバージョン数を返す
Meta()
関数を実装。 - 変数
Contract
を定義する必要がある。関数contract .MakePluginContract
が簡単なアウトラインをオブジェクトに変換し、DAppチェーンとのやり取りができるようにする。 - その後メインルーチンは、コントラクトをワーキングサーバーとしてセットアップ可能。
もちろんこのコントラクトは機能を持たないので何もできない。 次のステップでいくつか追加していこう。 こうしてMakePluginContract関数は、コントラクトに与える新しいメソッドを取得するためにリフレクションを使用することができる。
関数の追加
func (c *HelloWorld) Hello(ctx contract.StaticContext, req *types.HelloRequest) (*types.HelloResponse, error) {
return &types.HelloResponse{
Out: "Hello World!",
}, nil
}
固定メッセージを返すだけのシンプルな関数だ。以下のキーポイントがある。
contract.StaticContext
もしくはcontract.Context
のどちらかが、第1パラメータである必要がある。 これはDAppチェーン上のリソースにアクセスを可能にする様々な方法を提供する。 例えば、データベース状態の閲覧や変更、もしくは他のプラグインの呼び出しなどだ。- 第2パラメーターのユーザー入力と最初の戻り値は、protobufメッセージの形式をとる; この例ではHelloRequestとHelloResponseだ。 これらのprotobufメッセージ構造体は言語中立な .protoファイルから自動生成される必要がある。 以下を参照のこと。
- protobufメッセージを入力および出力するパラメーターは、呼び出し元のアプリケーションと連携している必要がある。 Protobufメッセージのデータ構造が .protoの言語ファイルから生成されるので、呼び出し元のアプリケーションとスマートコントラクトが別の言語で書かれていても問題にはならない。
なのでこれは、Hello関数にとって適切なtypes.protoファイルの例であろう。
syntax = "proto3";
message HelloRequest {
string in = 1;
}
message HelloResponse {
string out = 1;
}
使用可能なtypes.pb.goファイルは、protto用のprotoc-gen-gogoプラグインを使って、以下のようなコマンドで生成できる。
protoc --gogo_out=. --plugin=protoc-gen-gogo types.proto
スマートコントラクトの呼び出し
次のコードフラグメントは、Hello WorldサンプルのHello関数を呼び出すための、Go-loomを使用したGoでのやり方を示している。
rpcClient := client.NewDAppChainRPCClient(chainId, "http://localhost:1234", "http://localhost:2345")
contract := client.NewContract(rpcClient, contractAddr, "HelloWorld")
request := &types.HelloRequest{}
response := &types.HelloResponse{}
_, err = contract.StaticCall("Hello", request, signer, response)
fmt.Println(response.Out)
- クライアントを作成し、そのURLでDAppチェーンへのアクセスできるようにする。
- 名前とアドレスからスマートコントラクトのハンドルを取得する。
- ワイヤータイプのHelloRequestとHelloResponseは、呼び出し中のコントラクトメソッドの入力および出力パラメーターと一致しなくてはならない。
Hello
メソッドを呼び出す。Helloメソッドは静的コンテキストを持っているので、StaticCallを使っている。
Solidityコントラクトの呼び出し
プラグインの実装を簡単に見直したので、今度はプラグインからDAppチェーンのEVMにデプロイされたスマートコントラクトにアクセスすることについてやっていこう。
最初に、この簡単なSolidityコントラクトをDAppチェーンのEVMにデプロイしたと仮定しよう。
pragma solidity ^0.4.18;
contract SimpleStore {
function set(uint _value) public {
value = _value;
}
function get() public constant returns (uint) {
return value;
}
uint value;
}
このSolidityコントラクトをラップする簡単なプラグインを見ていこう。 こうして我々のプラグインはSetValueとGetValueの2つの関数を持つことになり、これらはSimpleStoreコントラクトとトランザクション送信者の間でのデータ受け渡しを行う。 これはSimpleStoreをラップするので、EvmExampleと呼ぼう。
これはEvmExampleコントラクトに関するアウトラインで、SetValueおよびGetValueメソッドに追加されたスタブもある。
package main
import (
"github.com/loomnetwork/go-loom/plugin"
"github.com/loomnetwork/go-loom/plugin/contractpb"
"github.com/loomnetwork/go-loom/examples/plugins/evmexample/types"
)
type EvmExample struct {
}
func (c *EvmExample) Meta() (plugin.Meta, error) {
return plugin.Meta{
Name: "EvmExample",
Version: "1.0.0",
}, nil
}
func (c *EvmExample) SetValue(ctx contractpb.Context, value *types.WrapValue) error {
return nil
}
func (c *EvmExample) GetValue(ctx contractpb.Context, req *types.Dummy) (*types.WrapValue, error) {
return nil, nil
}
var Contract = contractpb.MakePluginContract(&EvmExample{})
func main() {
plugin.Serve(Contract)
}
メッセージの宣言を生成する .protoファイルはこのようになる。
syntax = "proto3";
message Dummy {
}
message WrapValue {
int64 value = 1;
}
まずSetValue関数を見ていこう。EVM上のスマートコントラクトを実行するよう呼び出す関数は
contractpb.CallEVM(ctx Context, addr loom.Address, input []byte, output *[]byte) error
ここではコンテキストが渡されているのだが、outputを設定するにはダミーとすることが可能だ。Solidityコントラクトのアドレスと、その正確なインプットが必要となる。
このContextはレジストリを含み、コントラクトのアドレスをその名前から取得することを可能にする。
ssAddr, err := ctx.Resolve("SimpleStore")
このインプットはEVMへ直接渡されているが、Solidity ABIドキュメンテーションにあるようにエンコードされる必要がある。
パラメーターのABIエンコーディング
そのため、このインプットをこのようなものへエンコードしなくてはならない。
60fe47b100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000003db
心配しなくても、あなたのためにgo-ethereumがやってくれる。
Solidityをコンパイルすると、EVM上で動くバイトコードだけではなくABIも手に入る。ABIはJSONオブジェクトでコントラクトのインターフェースを記述している。これはSimpleStoreのABIだ。
[
{
"constant": false,
"inputs": [
{
"name": "_value",
"type": "uint256"
}
],
"name": "set",
"outputs": [],
"payable": false,
"stateMutability": "nonpayable",
"type": "function"
},
{
"constant": true,
"inputs": [],
"name": "get",
"outputs": [
{
"name": "",
"type": "uint256"
}
],
"payable": false,
"stateMutability": "view",
"type": "function"
}
]
"github.com/ethereum/go-ethereum/accounts/abi"とこのABI文字列を使って、インプットをエンコードすることができる。 abi.JSONはここでの重要な関数である。
abiSimpleStore, err := abi.JSON(strings.NewReader(SimpleStoreABI))
input, err := abiSimpleStore.Pack("set", big.NewInt(value.Value))
ここでは変数SimpleStoreABI
の中にSimpleContract ABIがある。ファイルから読み取るのも、もしくはソース内にハードコードするのもどちらも可能だ。
Packメソッドは関数シグネチャと引数リストを受け取り、エンコードされたインプットを返す。
まとめ
これでインプットの取得方法とSetValueメソッドのサンプルに与えることができるコントラクトアドレスがわかった。エラーチェックはわかりやすさのため割愛した。
func (c *EvmExample) SetValue(ctx contractpb.Context, value *types.WrapValue) error {
ssAddr, err := ctx.Resolve("SimpleStore")
abiSS, err := abi.JSON(strings.NewReader(SimpleStoreABI))
input, err := abiSS.Pack("set", big.NewInt(value.Value))
evmOut := []byte{}
err = contractpb.CallEVM(ctx, ssAddr,R input, &evmOut)
return err
}
この関数はGo-loomを使ってGoで呼び出すことができる。
rpcClient := client.NewDAppChainRPCClient(chainId, writeUri, readUri)
contract := client.NewContract(rpcClient, contractAddr, "EvmExample")
payload := &types.WrapValue{
Value: int64(value),
}
_, err = contract.Call("SetValue", payload, signer, nil)
するとGetValue関数は同じやり方で機能する。 今度はSolidityコントラクトのアウトプットをアンラップし、それをWrapValueメッセージで返す必要がある。 StaticCallEvm
はget
として使われ、viewもしくはconstant関数である。
import (
"github.com/ethereum/go-ethereum/accounts/abi"
"github.com/ethereum/go-ethereum/common"
"github.com/loomnetwork/go-loom/examples/plugins/evmexample/types"
"github.com/loomnetwork/go-loom/plugin"
"github.com/loomnetwork/go-loom/plugin/contractpb"
"math/big"
"strings"
"strconv"
)
func (c *EvmExample) GetValue(ctx contractpb.Context, req *types.Dummy) (*types.WrapValue, error) {
ssAddr, err := ctx.Resolve("SimpleStore")
if err != nil {
return nil, err
}
abiSS, err := abi.JSON(strings.NewReader(SimpleStoreABI))
if err != nil {
return nil, err
}
input, err := abiSS.Pack("get")
if err != nil {
return nil, err
}
evmOut := []byte{}
err = contractpb.StaticCallEVM(ctx, ssAddr, input, &evmOut)
if err != nil {
return nil, err
}
value, err := strconv.ParseInt(common.Bytes2Hex(evmOut), 16, 64)
if err != nil {
return nil, err
}
return &types.WrapValue{
Value: value,
}, nil
}
EvmContract
go-loomとloom-jsは、RPCクライアントを使用して稼働中のDAppチェーンと通信するのに役立つ。
go-loom
これはgo-loomコントラクトで説明されているのと同じ方法で機能する。
DAppチェーン上のSolidityコントラクトへの接続
DAppチェーンEVM上で実行される既存のSolidityスマートコントラクトに接続するには、以下を使う。
package main
import (
"github.com/loomnetwork/go-loom/auth"
"github.com/loomnetwork/go-loom/client"
"github.com/loomnetwork/go-loom/vm"
)
// getContractは新しい`Contract`インスタンスを作成し、これを使ってDAppチェーンのEVM上にあるスマートコントラクトとの対話が行える。
func getEvmContract(contractName string) (*client.EvmContract, error) {
rpcClient := client.NewDAppChainRPCClient(
"default",
"ws://127.0.0.1:46658/websocket",
"ws://127.0.0.1:46658/queryws",
)
contractAddr, err := rpcClient.Resolve(contractName)
if err != nil {
return nil, err
}
return client.NewEvmContract(rpcClient, contractAddr), nil
}
DAppチェーンへのSolidityコントラクトのデプロイ
また、新しいスマートコントラクトを稼働中のDAppチェーンEVMにデプロイすることもできる。これを行うにはコントラクトのバイトコードが必要となる。
Solidityコントラクトは、Solidityコンパイラsolc --bin -o . mySolidityProgram.sol
を使ってバイトコードに変換される。
hex.DecodeString
を使って、hex文字列をバイト配列に変換することができる。 するとClient.DeployContract を使ってコントラクトをデプロイ、 さらに EVMContractのハンドルを返却することが可能となる。 2つ目の返却されるパラメータは トランザクションハッシュ でTxHashクエリを使うトランザクションの受領の取得に使える。
import (
"encoding/hex"
"github.com/loomnetwork/go-loom/auth"
"github.com/loomnetwork/go-loom/client"
"github.com/loomnetwork/go-loom/vm"
)
func deployEvmContract(name string, byteHex string, signer auth.Signer)
(handle *EvmContract, txReciept []byte, err error) {
// hex文字列のはじめにある 0x を取り除く
byteCode, err := hex.DecodeString(string(byteHex[2:]))
if err != nil {
return err
}
rpcClient := client.NewDAppChainRPCClient(common.ChainID, common.WriteURI, common.ReadURI)
return client.DeployContract(rpcClient, signer, byteCode, name)
}
Solidityコントラクトコードの取得
DAppチェーンのQueryInterfaceメソッドのGetCodeを使ってデプロイされたsolidiyコントラクトからランタイムのバイトコードを取得できる
// GetCodeはDAppチェーンのEVM上で動いているコントラクトのランタイムバイトコードを返却する
// EVMではないコントラクトにはエラーを出す。
// contract - コントラクトのアドレス string (loom.Address.String() で変換できる)
// return []byte - ランタイムバイトコード
func (c *DAppChainRPCClient) GetCode(contract string) ([]byte, error)
ランタイムコードは開始用コードと最初のコントラクトのバイナリと不要になったら削除するためのコントラクトで構成されている
DAppチェーン上のSolidityコントラクトへの書き込み
DAppチェーンのEVMにデプロイされたスマートコントラクトへの読み取り及び書き込みは、 非EVMプラグインへの書き込み及び読み取りのやり方と同様である。 主な違いは、関数シグネチャと入力パラメータがABIエンコーディングを使ってバイトコードに変換される必要があるということだ。 go-ethereumの abi.JSON関数を使ってsolc --abi -o.MySolidiityProgram.sol
から取得できるコントラクトABIを用いて、 インプットをエンコードすることが可能だ。
EvmContractのCallメソッドは、DAppチェーンの状態を変更するメソッドに対し使用される。
input (
"github.com/loomnetwork/go-loom/auth"
"github.com/loomnetwork/go-loom/client"
"github.com/loomnetwork/go-loom/vm"
"github.com/ethereum/go-ethereum/accounts/abi"
)
func store(contract *client.EvmContract, key, abi string, value int) ([]byte, error) {
abiSS, err := abi.JSON(strings.NewReader(SimpleStoreABI))
if err != nil {
return []byte{}, err
}
input, err := abiSS.Pack("set", big.NewInt(value.Value))
if err != nil {
return []byte[], err
]
return contract.Call(input, key)
}
Callメソッドは、トランザクションのハッシュ値を返却する。 GetEvmTxReceipt
メソッドでこのハッシュを用いて、コントラクトについてのさらなる情報を検索できる。 これは transcation recieipt, vm.EvmTxReceipt オブジェクトを返す。
input (
"github.com/loomnetwork/go-loom/auth"
"github.com/loomnetwork/go-loom/client"
"github.com/loomnetwork/go-loom/vm"
"github.com/ethereum/go-ethereum/accounts/abi"
)
...
txHash, err := store(ecmContract, key, abi, 23)
if err != nil {
return err
}
rpcClient := client.NewDAppChainRPCClient(common.ChainID, common.WriteURI, common.ReadURI)
var receipt vm.EvmTxReceipt
receipt, err = rpcClinet.GetTxReceipt(txHash)
...
DAppチェーン上Solidityコントラクトからの読み取り
EVMスマートコントラクトから情報を取得するには、EvmContractのstaticCallを使用してviewメソッドを呼び出す必要がある。 これはABIにエンコードされたバイト形式で結果を返す。 他のEVMメソッドの場合、関数シグネチャと入力引数がABIエンコーディングされる。 StaticCallのcallerフィールドはオプションであり、空のloom.Addressを使用しても良い。
input (
"github.com/loomnetwork/go-loom/auth"
"github.com/loomnetwork/go-loom/client"
"github.com/loomnetwork/go-loom/vm"
"github.com/ethereum/go-ethereum/accounts/abi"
)
func get(contract *client.EvmContract, abi string, value int) ([]byte, error) {
abiSS, err := abi.JSON(strings.NewReader(SimpleStoreABI))
if err != nil {
return []byte{}, err
}
input, err := abiSS.Pack("set", big.NewInt(value.Value))
if err != nil {
return []byte[], err
]
return contract.StaticCall(input, loom.RootAddress("MyChainId"))
}
loom-js
非EVMプラグインと同様のやり方で、JavaScript及びTypeScriptでもDAppチェーンのEVM上にデプロイされたコントラクトのメソッドをCallすることができる。概要は loom-jsクイックスタートで説明されている。
DAppチェーン上のSolidityコントラクトへの接続
We use the EvmContract class instead of the Contract class. So the loom-js quick-start getEvmContract could looks like:
const {
NonceTxMiddleware, SignedTxMiddleware, Client,
EvmContract, Address, LocalAddress, CryptoUtils
} = require('loom-js')
const { MapEntry } = require('./helloworld_pb')
/**
* 新たな`Contract`インスタンスを作成し、スマートコントラクトとの対話に使えるようにする。
* @param privateKey(秘密鍵)はコントラクトに送信されたトランザクションに署名するために使われる。
* @param publicKey(公開鍵)は秘密鍵に対応するものである。
* @returns `EvmContract`のインスタンス
*/
async function getContract(privateKey, publicKey) {
const client = new Client(
'default',
'ws://127.0.0.1:46658/websocket',
'ws://127.0.0.1:46658/queryws'
)
// required middleware
client.txMiddleware = [
new NonceTxMiddleware(publicKey, client),
new SignedTxMiddleware(privateKey)
]
const contractAddr = await client.getContractAddres('MySolidityContract')
const callerAddr = new Address(client.chainId, LocalAddress.fromPublicKey(publicKey))
return new EvmContract({
contractAddr,
callerAddr,
client
})
}
DAppチェーン上のSolidityコントラクトへの書き込み
状態を変更するEVMスマートコントラクトのメソッドは、DAppチェーンへのデータの書き込みと同じように機能する。 EvmContractの場合の主な違いは、インプットはABIエンコードされた配列の形式を取るということだ。
let txHash = await evmContract.callAsync(abiEncodedInput)
戻り値は、トランザクションのハッシュ値である。 GetEvmTxReceipt
メソッドでこのハッシュを用いて、コントラクトについてのさらなる情報を検索できる。 これは トランザクションのレシート、EvmTxReceipt オブジェクトを返す。
let receipt = await client.getTxReceiptAsync(rtv)
DAppチェーン上Solidityコントラクトからの読み取り
EVMスマートコントラクトから情報を取得するには、EvmContractのstaticCallを使用してviewメソッドを呼び出す必要がある。 これはABIにエンコードされたバイト形式で結果を返す。 他のEVMメソッドの場合、関数シグネチャと入力引数がABIエンコーディングされる。
let txResult = await evmContract.staticCallAsync(abiEncodedInput)
トランザクションのハッシュ値
状態を変更することができるCall
トランザクションを使ったDAppチェーンへの書き込みは、 トランザクションのハッシュ値を返す。 これは、トランザクション詳細についての唯一無二のハッシュ値である。 2つのコントラクトが同じハッシュ値を返すことはない。 トランザクション詳細を見つけるために、これを使用することができる。
トランザクションのレシート
EVMのcallトランザクションの各詳細はLoomチェーン上に保存され、トランザクションのハッシュ値を用いてアクセスすることができる。
LoomチェーンのQueryService
には、TxReceipt(txHash []byte) ([]byte, error)
というメソッドがあり、これはprotobuf形式のレシートを返す。 go-loom及びloom-jsはこのクエリにAPIを提供する。
go-loom:func (c *DAppChainRPCClient) GetEvmTxReceipt(txHash []byte) (vm .EvmTxReceipt, error)
loom-js: async getTxReceiptAsync(txHash: Uint8Array): Promise<EvmTxReceipt | null>
以下、トランザクション詳細のレシートオブジェクトだ。
フィールド | コンテンツ |
---|---|
TransactionIndex | このブロックのトランザクション番号 |
BlockHash | 最新ブロックのハッシュ値 |
BlockNumber | ブロックの高さ |
CumulativeGasUsed | 現在は使われていない |
GasUsed | 現在は使われていない |
ContractAddress | 呼び出されたコントラクトのアドレス |
Logs | イベントprotobufの配列としてエンコードされたイベント |
LogsBloom | 使われていない |
Status | 1 = 成功 / 0 = 失敗 |